北海道で展開している次代を担うセキュリティ人材育成事業のご紹介

2020年12月1日にオンラインで開催された、北海道地域情報セキュリティセミナー にて発表した「Security College for Youth 次代を担うセキュリティ人材育成事業に関するご報告」をもとに、北海道で 一般社団法人LOCAL が協力している若手育成事業をご紹介します。

地方IT勉強会 AdventCalendar 2020 12/12 の記事として登録しています。

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当日の動画はこちらを。出だしでちょっとあって、めっちゃ動揺しながら話し始めているため、目が泳いでいますが気にしないでください。
また、セミナー内容のすべての動画が格納されていますので、よろしければご覧になってください。

我々 LOCAL は、こんな団体です。

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kumikumitm.hatenablog.com

昨年のアドカレ記事もぺたりと貼っておきます。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、いわゆる次世代育成のための事業はいろいろと手がけているのですが、これどうやって説明すればわかりやすいのでしょうか。
「セキュリティ人材の育成」について、段階を追って考えてみました。

まず、第1段階。セキュリティ人材となる基盤を整える必要があります。

この段階での活動の代表格はこれです。インターネット安全教室

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今年は、COVID-19 対策のため、オンラインでの開催も対応していました。
しかし、学校としてはやらなければならないことが山積みだったはずで、インターネット安全教室の開催回数は例年より少ないものでした。
これからのことを考えると、withコロナ の社会で生きていくためにも、多くの学校や自治体で開催してもらえると良いなと思っています。

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こちらは、高校生 ICT Conference 2020 というイベントです。
ICTを取り巻く課題をテーマに、全国各地の高校生が議論し、意見をまとめ、代表者を選出し関係府省庁(内閣府消費者庁総務省文部科学省経済産業省)に提言する大会です。
参加した高校生は、グループにわかれ、テーマ(今年は「新しい生活様式とICT活用法」〜行動制限の時代に生きる〜)に沿った熟議を行い、提言にまとめます。
今年は、渦中から「新しい生活様式」「ICTの活用」を考え、議論を重ねながら、どうしたら良いのかを高校生の立場から考えていました。

LOCALは北海道開催の共催として、司会やファシリテータの派遣、そして今回はオンラインでの運営に携わりました。
例年は札幌での現地開催でしたので、札幌近郊、旭川、遠くは北見からの参加があるイベントでした。今年はオンラインということもあり、はじめて函館からの参加もありました。距離的な障壁は解消されたのですが、参加者側に機材や環境が必要となります。
また、深いディスカッションを行う内容のため、オンラインでのファシリテートにスキルや人員が必要となります。LOCALとしても、運営としての学びや気づきの多い経験となりました。

次は、第2段階。好きなIT関連分野での能力を育てます。

  • 楽しい、嬉しいを経験
  • 仲間との出会い

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U-16 プログラミングコンテスト。競技部門と作品部門で構成される、16歳以下を対象としたプログラミングコンテストです。北海道旭川の発祥です。LOCAL は札幌大会を共催しています。
競技部門は、Chaser という対戦型プラットフォーム上でプログラム同士が 1対1 で対決します。今年は、第4位までの入賞者が旭川で開催された 北海道大会 へ進出し、優勝、準優勝を獲得しました。

作品部門は、デジタル作品であればほぼ何でも出品が可能で幼年層からも参加があります。コンピュータに興味をもち、デジタル作品を完成させたということを心より讃え、全員に賞状をお送りしています。これは、在学している学校に届けられ、校長先生からお渡しいただき褒めていただくことで、嬉しい楽しいを実感し、今後も好きな分野を伸ばしていってもらえたらと願っています。今年の作品をこちらで紹介しています。

第3段階。スキルを育てます。

  • スキルのある人材へ
  • さらに高いセキュリティスキルを備えた人材へ

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セキュリティ・ミニキャンプ は、セキュリティ・キャンプの地方大会となります。
全国各地で開催されている、25歳以下の大学院生、学生、生徒を対象とした、情報セキュリティ人材の発掘、育成イベントです。LOCALは北海道大会の主催団体として、参加学生の支援、地元側の企画運営全般を担当しています。

セキュリティエンジニアへの一歩となるイベントですが、参加し、内容を楽しむためには、事前に相応のスキルが必要となります。
なるべくたくさんのエンジニアの卵たちがチャンスを活かすことができるよう、ミニキャンプレベルのイベントに自信をもって参加できるようなスキルを身につけることができる、そんな人材育成事業を 北海道地域情報セキュリティ連絡会 (HAISL) が企画しました。

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当初の予定 としては、年度が始まり夏頃までは定期的に演習系の勉強会を実施し、参加者全体のスキルを確認しつつベースアップを図る。秋〜冬頃には Hardening や CTF などのイベントを開催し、SC4Yからの参加を促します。その後、まとめ学習をして年度末を迎えます。そんな予定でした。
実際 は、年度が始まった頃は COVID-19 に翻弄されている時期で、勉強会やイベントの開催については曖昧模糊五里霧中。連休明けの頃、運営チームは暗中模索の状況の中、8月になればなんとかなるだろう、オンラインなら!と、とにかくやってみるべ!と、準備をはじめました。

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初回は、8月29日に、なんとか開催することができました。参加者はオンライン。運営チームは、現地とオンラインのハイブリッド開催としました。ご覧のように、現地も大教室で距離をとった配置での実施です。
ハンズオンスタイルの、手を動かす演習的な内容ですから、TAも潤沢に配置しました。しかし、オンラインなので、誰がどこまで理解しているのか、誰が困っているのか、よくわからないんですよね。
大丈夫なのか?困っていないのか?
Slack では、漫才のように豆知識の紹介などをしながら、困っていないかを確認してみるのですが、困っている人が見あたらない。本当に困っていないのかもわからない。
オンラインだと、一番見えてこない部分なんですよね。
大きな課題を感じながらも、第2回目の開催につなげます。

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11月28日。第2回を開催しました。ハイブリッドの体制は前回と変わらないのですが、ちょうど北海道が COVID-19 的に厳しい時期になっていたため、現地運営は最少限である4名のみとしました。
ハンズオン参加者は前回よりは集まりがゆるやかとなり、参加者同士の交流も少々控えめと感じました。参加者となる学生層との会話から、この頃、学生さんたちの中では「オンライン疲れ」を強く感じていて、週末までオンラインで勉強したくないという、そんな気持ちが生まれていると気がつきました。難しいものですね。

と、言いつつも、SC4Y (20#3) 企画検討中  です。
HAISL 会員の教育機関の先生方を中心に、次は何を取り上げるか検討しています。
もし、リクエストやアドバイスがあれば、遠慮なくご連絡ください。